「親の介護が始まったけれど、銀行の手続きはどうすればいいの?」
「親の判断能力が低下してきたら、誰が財産を管理するの?」
「成年後見制度という言葉は聞いたことがあるけれど、何をする制度なの?」
親の介護が始まると、介護そのものだけではなく、さまざまな手続きやお金の問題にも直面します。
介護サービスの契約、施設への入所、預貯金の管理、不動産の管理など、親本人が手続きをすることが難しくなる場面もあります。
私自身も親の介護を経験する中で、成年後見制度について考える機会がありました。
介護が始まるまでは、成年後見制度という言葉を知っていても、
「実際には何をする制度なのか」
「どうやって申し立てるのか」
「後見人になったら何をしなければならないのか」
までは、よく分かっていませんでした。
この記事では、親の介護をしている家族の立場から、成年後見制度についてできるだけ分かりやすく整理します。
法務省や裁判所などの公的情報をもとに、制度の概要から申立ての流れ、費用、後見人になった後の役割まで紹介します。
※この記事は成年後見制度の概要を紹介するもので、個別の法律相談を行うものではありません。実際に制度を利用する場合は、家庭裁判所や専門家に確認してください。
この記事はこんな方におすすめです
- 親の介護をしている
- 親の認知症や判断能力の低下が心配
- 親の銀行口座や財産の管理が難しくなってきた
- 介護施設との契約を誰がすればいいのか分からない
- 成年後見制度について知りたい
- 成年後見制度の申立て方法を知りたい
- 自分が後見人になったら何をするのか知りたい
- 親が元気なうちにできる準備について知りたい
- 成年後見制度とは?
- 法定後見制度と任意後見制度の違い
- 親の介護で成年後見制度を考えるのはどんなとき?
- 「親の通帳を預かっているから大丈夫」ではない?
- 成年後見制度には「後見・保佐・補助」がある
- 成年後見制度の申立てはどこにする?
- 成年後見制度の申立ての流れ
- 成年後見制度の申立てにかかる費用
- 申立てをしたら、すぐ後見人が決まる?
- 成年後見人になったら何をする?
- 成年後見人になったら自由に親のお金を使える?
- 成年後見人になった後も家庭裁判所との関わりがある
- 成年後見制度は途中でやめられる?
- 親が元気なうちなら「任意後見」という選択肢もある
- 「まだ元気だから関係ない」ではない
- 私自身が介護を経験して感じたこと
- よくある質問
- まとめ|成年後見制度は「必要になってから」だけではなく「早めに知っておく」ことが大切
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- 公的機関の情報
成年後見制度とは?
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が十分でない方を、法律面や生活面で支援する制度です。
例えば、
- 預貯金の管理
- 不動産の管理
- 介護サービスなどの契約
- 施設への入所契約
- 遺産分割などの手続き
など、自分一人で行うことが難しくなった手続きを支援します。
また、判断能力が不十分なことで、不利益な契約をしてしまったり、悪質商法などの被害に遭ったりすることから本人を守る役割もあります。
成年後見制度には、大きく分けて、
法定後見制度
任意後見制度
の2つがあります。
法定後見制度と任意後見制度の違い
大きな違いは、
親の判断能力が低下する前に準備するのか、低下した後に利用するのか
という点です。
法定後見制度
すでに判断能力が十分ではなくなった場合に、家庭裁判所へ申立てをして利用する制度です。
法定後見には、
- 後見
- 保佐
- 補助
の3つの類型があります。
本人の判断能力の程度によって、利用する制度が異なります。
任意後見制度
本人の判断能力が十分なうちに、将来、判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ任意後見人となる人や代理してもらう内容を契約しておく制度です。
任意後見契約は、公正証書で作成する必要があります。
その後、本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所へ任意後見監督人の選任を申し立てます。
親の介護で成年後見制度を考えるのはどんなとき?
介護をしていると、次のような場面に出会うことがあります。
「親の銀行手続きを代わりにしたい」
「施設との契約を親本人がするのが難しい」
「親の不動産を管理する必要がある」
「親宛ての重要な書類の手続きができない」
「親が契約内容を理解することが難しくなってきた」
このような場合には、成年後見制度が選択肢の一つになることがあります。
ただし、
親が高齢になったから必ず成年後見制度を利用する
というものではありません。
本人の判断能力や財産状況、必要な支援の内容などによって、制度を利用するかどうかを検討します。
「親の通帳を預かっているから大丈夫」ではない?
介護をしている家族が、
「親から頼まれて通帳を預かっています」
というケースもあると思います。
しかし、親の判断能力が低下してくると、家族であっても法律上、本人に代わってすべての契約や財産管理ができるとは限りません。
例えば、不動産の売却や重要な契約など、本人の判断能力が必要になる手続きでは問題になることがあります。
「家族だから何でも代わりにできる」と考えるのではなく、
親の判断能力が低下した場合、どのような手続きが必要になるのか
を早めに確認しておくことが大切です。
成年後見制度には「後見・保佐・補助」がある
法定後見制度には、
後見
保佐
補助
の3つがあります。
簡単に整理すると、
後見
判断能力が欠けているのが通常の状態の方を対象とします。
成年後見人は、本人の財産に関する法律行為について、一定の範囲で本人を代理することができます。
保佐
判断能力が著しく不十分な方を対象とします。
補助
判断能力が不十分な方を対象とします。
どの制度を利用するかは、本人の判断能力などを踏まえて家庭裁判所が判断します。
家族が、
「この場合は後見だろう」
と自分だけで判断するのではなく、家庭裁判所や専門家に相談することが大切です。
成年後見制度の申立てはどこにする?
法定後見制度を利用する場合は、
本人の住所地を管轄する家庭裁判所
に申立てを行います。
申立てができる人には、
- 本人
- 配偶者
- 四親等内の親族
- 市町村長など
があります。
親の成年後見を考えている場合、子どもが申立人になるケースもあります。
成年後見制度の申立ての流れ
ここからは、実際の手続きを大まかに見ていきます。
STEP1 まず相談する
いきなり申立書を書くのではなく、
- 地域包括支援センター
- 家庭裁判所
- 司法書士
- 弁護士
- 社会福祉士
などに相談してみましょう。
法務省も、成年後見制度についての相談先として、地域包括支援センター、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会、法テラスなどを案内しています。
STEP2 家庭裁判所を確認する
申立先は、原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
住んでいる場所によって申立先が変わるため、事前に確認しましょう。
STEP3 必要書類を準備する
裁判所の案内によると、後見開始の申立てでは、例えば、
- 申立書
- 本人の戸籍謄本
- 本人の住民票または戸籍附票
- 成年後見人候補者の住民票または戸籍附票
- 本人の診断書
- 本人情報シートの写し
などが必要になります。
ただし、必要書類は申立ての内容や家庭裁判所によって異なる場合があります。
また、マイナンバーが記載された書類は提出しないよう注意が必要です。
成年後見制度の申立てにかかる費用
裁判所の案内では、後見開始の申立てについて、
申立手数料:収入印紙800円
登記手数料:収入印紙2,600円
が基本的な費用として案内されています。
このほか、
- 郵便切手
- 必要に応じて鑑定費用
などがかかる場合があります。
郵便料は家庭裁判所によって異なるため、実際に申し立てる裁判所で確認してください。
また、専門家に手続きを依頼する場合は、別途専門家への報酬が必要になります。
申立てをしたら、すぐ後見人が決まる?
申立てをすると、家庭裁判所で手続きが進められます。
家庭裁判所では、
- 申立人から事情を聞く
- 本人の状況を確認する
- 成年後見人候補者について確認する
- 必要に応じて調査や鑑定を行う
などを行い、本人の判断能力や生活・財産の状況などを踏まえて、適切な成年後見人を選任します。
そのため、
「家族が候補者として申し立てれば、必ずその家族が後見人になる」
とは限りません。
ここは、成年後見制度を考えるときに知っておきたい大切なポイントです。
成年後見人になったら何をする?
成年後見人の仕事は、単に「親のお金を管理する」ことではありません。
本人の権利や利益を守りながら、財産を適切に管理し、必要な手続きを行います。
例えば、
- 預貯金などの財産管理
- 施設や介護サービスなどの契約
- 本人に必要な費用の支払い
- 財産や収支の管理
- 家庭裁判所への報告
などがあります。
成年後見人には本人のために適切に事務を行う責任があります。
成年後見人になったら自由に親のお金を使える?
これは大きな誤解です。
成年後見人は、本人の財産を自分のお金のように自由に使うことはできません。
あくまでも、
本人のために財産を管理する
ことが基本です。
例えば、
「親のお金だから、自分の生活費に使ってもいい」
という考え方はできません。
成年後見人には、本人の財産を適切に管理する責任があります。
成年後見人になった後も家庭裁判所との関わりがある
成年後見人に選ばれて手続きが終わり、そこで終了するわけではありません。
後見人は、その後も本人の財産や生活に関する事務を行い、家庭裁判所に必要な報告を行います。
裁判所も、成年後見人等に選任された方に対して、役割や責任、家庭裁判所への報告方法を理解するよう案内しています。
つまり、
成年後見人になる=継続的な責任を担う
ということです。
「とりあえず親の通帳を管理したい」という軽い気持ちだけで利用する制度ではありません。
成年後見制度は途中でやめられる?
ここも大切なポイントです。
法定後見制度は、本人の判断能力が回復したと認められる場合などを除き、家族の都合で簡単に利用をやめることはできません。
法務省も、本人の判断能力が回復したと認められる場合でない限り、法定後見制度の利用を途中でやめることはできないと説明しています。
だからこそ、
「とりあえず成年後見を申し立てよう」
と急いで決めるのではなく、制度のメリットだけでなく、負担や責任についても理解したうえで検討することが大切です。
親が元気なうちなら「任意後見」という選択肢もある
親がまだ判断能力を十分に保っている場合は、
任意後見制度
という選択肢があります。
任意後見制度では、本人が判断能力を十分に持っているうちに、将来に備えて任意後見人となる人と契約を結びます。
例えば、
「将来、自分で財産管理ができなくなったら、この人にお願いしたい」
という希望をあらかじめ決めておくことができます。
任意後見契約は公正証書で作成する必要があります。
「まだ元気だから関係ない」ではない
成年後見制度について調べると、
「親はまだ元気だから必要ない」
と思うかもしれません。
でも、元気なうちだからこそ話し合えることもあります。
例えば、
「将来、介護が必要になったらどうしたい?」
「財産の管理はどうしてほしい?」
「施設に入ることになったら、誰に手続きを頼みたい?」
などです。
こうした話は、親が元気なうちのほうが本人の希望を聞きやすいものです。
私自身が介護を経験して感じたこと
親の介護が始まると、目の前のことで精いっぱいになります。
病院。
介護サービス。
家族との連絡。
仕事との調整。
そして、親のこれからの生活。
一つひとつ対応しているうちに、
「この先、お金の管理はどうなるんだろう」
「親が自分で手続きできなくなったらどうすればいいんだろう」
という問題が出てきます。
私自身も、介護を経験するまで成年後見制度について深く考えることはありませんでした。
だからこそ、今なら、
「必要になってから慌てて調べるのではなく、早めに知っておく」
ことの大切さを感じています。
制度を利用するかどうかは、家庭によって違います。
成年後見制度を利用しない選択もあります。
大切なのは、
「どんな制度があるのかを知ったうえで、自分たちに合った方法を考えること」
なのだと思います。
よくある質問
Q.成年後見制度は、親が認知症になったら必ず利用するものですか?
いいえ。
認知症になったからといって、必ず成年後見制度を利用しなければならないわけではありません。
本人の判断能力や生活・財産の状況などを踏まえて、制度を利用する必要があるかを検討します。
迷ったときは、地域包括支援センターや専門家などに相談しましょう。
Q.子どもなら必ず成年後見人になれますか?
必ず子どもが成年後見人になるわけではありません。
家庭裁判所が本人の生活や財産の状況などを踏まえて、適切な成年後見人を選任します。
Q.成年後見人になったら親の財産を自由に使えますか?
いいえ。
成年後見人は本人の財産を本人のために管理する立場です。
自分のために自由に使うことはできません。
Q.成年後見制度の申立てはどこにしますか?
原則として、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
Q.申立てにはどのくらいお金がかかりますか?
後見開始の申立てでは、申立手数料800円、登記手数料2,600円のほか、郵便切手や必要に応じて鑑定費用などがかかります。
また、専門家に依頼する場合は別途報酬が必要です。
Q.親が元気なうちにできることはありますか?
あります。
親が十分な判断能力を持っているうちであれば、任意後見制度を利用して、将来に備える方法があります。
任意後見契約は公正証書で作成します。
まとめ|成年後見制度は「必要になってから」だけではなく「早めに知っておく」ことが大切
親の介護が始まると、介護サービスや病院のことだけでなく、
お金
契約
財産管理
将来の生活
について考える場面も増えてきます。
親の判断能力が低下すると、家族だけでは対応できない手続きが出てくることがあります。
そんなときの選択肢の一つが成年後見制度です。
成年後見制度には、
- 法定後見制度
- 任意後見制度
があります。
法定後見制度には、
- 後見
- 保佐
- 補助
があります。
ただし、成年後見制度は一度利用すると、本人の判断能力が回復した場合などを除き、簡単にやめられる制度ではありません。
だからこそ、
制度を知ること
早めに相談すること
家族で話し合うこと
が大切です。
私自身も介護を経験して、
「もっと早く知っておけばよかった」
と思うことがたくさんありました。
この記事が、親の介護や将来の財産管理について考えるきっかけになればうれしいです。
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公的機関の情報
成年後見制度は法律に関わる制度です。
制度や手続きは変更されることもあるため、実際に利用するときは必ず最新の公的情報を確認してください。
また、地域包括支援センターなどでも成年後見制度について相談できます。
※この記事は成年後見制度についての一般的な情報を紹介するものです。個別のケースについては、家庭裁判所、司法書士、弁護士、社会福祉士、地域包括支援センターなどにご相談ください。


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