教員を辞めたいと思う理由は人それぞれです。
しかし、小学校教員として30年以上勤務してきた経験から言えば、多くの先生方が同じような悩みを抱えています。
教員はやりがいのある仕事です。
子どもの成長を支え、人生の大切な時期に関わることができる魅力的な職業です。
それでも「辞めたい」と感じる先生が少なくないのは、授業以外にも多くの負担を抱えているからです。
ここでは、教員が辞めたいと感じる代表的な理由について解説します。

長時間労働と持ち帰り仕事
教員の仕事は授業をするだけではありません。
授業準備、教材研究、テスト作成と採点、学級通信、保護者への連絡、会議資料の作成など、数え切れないほどの業務があります。
勤務時間内に終わらない仕事は、自宅へ持ち帰ることも珍しくありません。
私自身、子どもが小さい頃は、家族が寝静まった後に学級通信を作成したり、テストの採点をしたりすることがよくありました。
休日に学校へ行って仕事をした経験のある先生も多いのではないでしょうか。
「子どもたちのため」と思って頑張るうちに、自分の時間や家族との時間が削られていきます。
その積み重ねが、心身の疲労につながり、「もう辞めたい」と感じる原因になるのです。
保護者対応・クレーム対応
近年、多くの教員が負担に感じているのが保護者対応です。
もちろん、ほとんどの保護者は学校に協力的です。
しかし一部には、対応に大きな時間と精神力を要するケースもあります。
子ども同士のトラブルへの対応、成績や指導への意見、学校への要望など、内容はさまざまです。
電話や面談が長時間に及ぶこともあります。
私も約30年間の教員生活の中で、保護者対応に悩んだ経験があります。
一つの対応が解決するまで何週間もかかることもありました。
保護者との信頼関係づくりは大切ですが、その負担が大きくなりすぎると、教員自身の心が疲れてしまいます。
部活動や校務分掌の負担
中学校や高校ほどではありませんが、小学校にもさまざまな校務があります。
安全教育、情報教育、特別支援教育、研究主任、教務主任など、多くの役割が存在します。
特に経験を積んだ教員ほど責任ある仕事を任される傾向があります。
授業や学級経営に加えて校務分掌を担うことは、大きな負担になります。
私自身も学年主任や校内研修の担当などを経験しました。
子どもたちの前では笑顔で接しながらも、頭の中では別の業務の締切を気にしていることがありました。
本来の教育活動以外の業務が増えることで、「何のために働いているのだろう」と感じてしまう先生も少なくありません。
管理職・同僚との人間関係
どの職場にも人間関係の悩みはありますが、学校は特有の難しさがあります。
一つの学校の中で長期間働くため、人間関係の影響を受けやすいのです。
管理職との考え方の違い。
同僚との価値観の違い。
学年団での連携の難しさ。
若手教員とベテラン教員の世代間ギャップ。
こうした問題が積み重なると、仕事そのものよりも職場へ行くことが辛くなります。
私が若い頃も、人間関係で悩んでいる先生を何人も見てきました。
逆に言えば、良い仲間に恵まれると仕事の大変さを乗り越えやすくなります。
それだけ人間関係は大きな影響を与えるのです。
授業以外の仕事が多すぎる
教員になった理由として、「授業がしたい」「子どもと関わりたい」と答える人は多いでしょう。
私もその一人でした。
しかし現実には、授業以外の仕事が非常に多くあります。
会議、研修、調査回答、各種報告書の作成、学校行事の準備など、子どもと直接関わらない業務も少なくありません。
特に近年は記録や報告を求められる場面が増えています。
気がつけば一日中パソコンに向かい、子どもたちと話す時間がほとんどなかったという日もあります。
教育のために教員になったのに、教育以外の仕事に追われてしまう。
そのギャップに苦しむ先生は少なくありません。
子どもとの関わりに疲れてしまった
教員は子どもが好きな人が多い仕事です。
しかし、どれだけ子どもが好きでも疲れてしまうことがあります。
学級崩壊への対応。
不登校児童への支援。
いじめ問題。
保護者との連携。
発達特性のある子どもへの対応。
どの子にも寄り添いたいと思うからこそ、思うようにいかない現実に悩みます。
私自身も、「もっと良い対応ができたのではないか」と自分を責めたことが何度もありました。
責任感の強い先生ほど、子どもの問題を一人で抱え込みがちです。
そして心が疲れ、「教員に向いていないのではないか」と考えてしまうことがあります。
辞めたい理由を整理することが大切
ここまで紹介したように、教員が辞めたいと感じる理由は一つではありません。
長時間労働、人間関係、保護者対応、校務分掌、そして子どもとの関わり。
さらに私の場合は、親の介護との両立という課題もありました。
大切なのは、「辞めたい」と思う自分を責めることではありません。
なぜ辞めたいのか。
何が一番苦しいのか。
その原因を整理することが、後悔しない選択への第一歩になります。
次章では、「教員を辞めるべき人と、もう少し続けてもよい人の違い」について考えていきます。



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